Diary『学校へ行く。』
このホームページの中の、スケジュールのページにアップしているライブ活動以外に、やなせはお寺や病院、老人ホームや学校、幼稚園といった場所でも、歌を唄っています。
わたしは、ある一定の年齢以上の方を想定して曲を作っているので、幼い子どもや学生さんの前で歌う学校公演というものは、正直言って苦手なんです。
でも、縁あってお仕事をいただき、学校へ行くと、苦手な年代の方の前でも演奏するしかありません。
四の五の言わずに、とにかくやってみると、意外と熱心に耳を傾けてくれる子どもたちに出会ったり、元気いっぱいに学校生活を送っている健康な生徒の姿を見ることができ、それはそれで楽しいな、と最近は思うようになりました。
近頃は“文化の秋”ということもあって、学校にお招きいただく機会も多いのですが、先日はわたしの母校である小学校へ行って来ました。その日は祝日でしたが、朝から日曜参観のような形で授業が行われており、午後からは体育館で生徒たちの音楽発表会、そしてPTA主催のやなせななミニコンサート、という行事が予定されていたのです。
小学校の体育館に足を踏み入れるなんて、20年ぶりです。
水銀燈が点る天井、つやつや輝く板張りの床、ワックスのにおい、片隅に並べられた跳び箱、バスケットのゴール…わたしが子どもの頃に見た光景と、ほとんど何も変わっていなくて、忘れていた記憶が次々とよみがえりました。
昔は体育が苦手で、跳び箱が跳べなくて泣いたなあ、とか、この舞台でアコーディオンを弾いたなあ、とか、学校行事で体育館に泊まったことがあったなあ、とか…。なつかしい思い出が、ここにはたくさん残っています。
全くの余談ですが、久しぶりに学校へ行って、小学生の頃、図書館でよく読んだ本のことを、突然思い出しました。題名はわからないのですが、主人公はとってもわがままな王様で、シリーズものなんです。挿絵もかわいらしかったー。
たまご焼きが大好物の、ひげ面の王様は、いつも周囲の家来を困らせてばかり。わがままが過ぎて、ばちが当たり、最後は反省する、という、そんなお話だったような。あの本、大好きだったな。今思えば、王様に共感してたんですね。
この物語、絶対人気があったと思うのですが、知っている方いますか?今も読まれているのかな。
閑話休題。
コンサートの日は、せっかくの機会なので、お父さんお母さんに混じって、生徒たちの音楽発表会を見学することにしました。みんなとても真面目な表情で、楽器を演奏しています。ほほえましい姿でした。
「ななちゃんやんなあ?」舞台を見ていたわたしに、不意に声をかけて来たお母さんがいました。20年ぶりに会ったので、一瞬わかりませんでしたが、すぐに思い出しました。近所に住んでいた、幼なじみです。彼女は同級生と結婚し、今では3人のお子さんのママだそうです。
なつかしい顔に出会ったことで、ふっと気持ちがやわらかくなりました。
その後始まったコンサートでは、アニメソングや童謡も演奏しましたが、知っている曲が出て来ると、子どもたちは喜んでいっしょに唄ってくれます。きらきらした眼差しに支えられて、肩の力が抜け、コンサートはあたたかい雰囲気に包まれて終わりました。
実を言うと、わたしの母校は、今年度いっぱいで廃校になります。
わたしの祖父も、父も通った、歴史ある学校でしたが、少子化(及び過疎)が進む中、在校生の人数が減り、近隣の別の小学校と統合せざるを得なくなったとのこと。
毎日通った校舎も、親しんだ校歌も、制服も、もちろん校名も、全てがなくなってしまいます。
卒業後も、近所に住んでいたわたしにとっては、いつも子どもたちの声が聞こえる、のどかな小学校の光景は、そこにあるのが当たり前の存在でした。なくなるなんて、夢みたい。
なつかしい学び舎は、廃校後の利用方法もまだ決まっていないらしく、この体育館もどうなるかわからないそうです。こんなに頑丈そうで、まだまだきれいなのに…。
何か良い形で、地域の住民の方に役立つ施設として生まれ変わって欲しい、と今はただ祈るばかりでした。
時の流れには逆らえません。
人は旅立ち、景色は変わり、全ては移り変わってゆきます。
わかっているけど、さみしいものです。


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