New Album 「遠い約束」

『紅夢』

050223_1701~01.JPG
寒くなったりあたたかくなったり…何とも不安定なお天気が続きますね。きのうの関西は小春日和で、ぽかぽか陽気の中、庭でネコたちがはしゃいでいました。
少しずつ、春が近づいて来ているのですね。写真は、今わが家で満開のお花。種類わかりません。ワタクシ、実はお花オンチなのです。ほほ…(汗)。

数日前、何気なく見ていた深夜のテレビで、偶然「紅夢」という映画を見ました。1991年の中国・香港の合作で、監督はチャン・イーモウ、主演はコン・リー。
物語は1920年代の中国が舞台。ヒロインのスンリェンは19歳のインテリ学生でしたが、父親の急死で苦しくなった家計を助けるため、学業を断念して、大金持ちの第四夫人となります。4人の妻たちは、お屋敷内にそれぞれの家(院)を与えられ、夫であるその家の当主が、床を共にするために訪れる院の前にだけ、夜になると赤い提灯が灯されるしきたりになっています。外の世界から隔絶された中で、提灯が象徴する栄誉や権力の獲得に、一喜一憂する女たち。ヒロインも次第に、嫉妬と策略が渦巻くその醜い争いに巻き込まれ、結局はとてつもなく悲劇的な結末を迎えてしまうのです。

この作品は、ベネチア映画祭で銀獅子賞に選ばれているほか、様々な映画賞を受賞している名作の誉れ高い映画だったようで、わたしもエンドロールの最後まで、2時間以上テレビの前から動けませんでした。いやあ~素晴らしかった!
ストーリーそのものも、とても面白いのですが、何よりもその映像の美しさといったら格別です。屋敷内の映像がほとんどなのに、確かに季節の移り変わりを感じさせる空気感。中国の古い建物やインテリアの、少し翳のあるような独特の幽玄美。色のない夜の闇の、グレーの瓦屋根の間に浮かぶ、紅い提灯の鮮烈な印象…。もうたまりません。
久しぶりに映画を見て大興奮しました。このダイアリーを読んで興味を持たれた方がいらっしゃったら、ぜひぜひ。オススメですよ!

『恋』

050214_1446~01.JPG
少し前になりますが、2月14日はバレンタインデーでしたね。日本では、女性が男性にチョコレートを渡して、恋心やら愛やら感謝やらを伝える日、という通例になっています。

わたしは昔から、このバレンタインという行事が結構苦手でした。あからさまなハート型のチョコレートに、何かしらじらしさみたいなものを感じて、気恥ずかしくて。要はあまのじゃくなんですね(笑)。
でも、最近はそんな気持ちも少しずつ薄らいで来て、今年は例年になく、チョコやカードを贈りました。日ごろなかなか“ありがとう”を伝えられない人に、この機会を借りようと思いまして。おほほ。喜んでくれるかな、なんて、相手のニコニコ顔を想像するのは、なかなか楽しいものでした。

そういえば学生時代、バレンタインの日は、朝から男の子も女の子もそわそわしたものでしたね。わたしの通っていた学校では、数日前から先生が“チョコ持参禁止令”を出したりしてね。理由は「不公平な結果を防ぐため」だったような…。今となっては笑えます。
それでも、チョコをこっそりと鞄に忍ばせて、学校帰りにお目当ての男の子を待ち伏せする女の子たち。震える手でチョコを渡し、やっとの思いで告白する。いやあ、なんて甘酸っぱい想い出なんでしょ。

そんなことを思い出したから、とかいうわけではないのですが、今、銀色夏生さんの詩集を読んでいます。
わたし、中学生くらいの頃、夏生さんの大ファンで。読んだことがある方はわかると思うのですが、恋に恋する年頃にはたまらない詩なんですよねえ。
ひたすらせつなくて、甘くて、苦い。その当時は、読むだけで胸がきゅーん、でしたよ。ははは。

そして今、わたしはまたその甘くて苦いことばたちを、ゆっくりたどっているのです。
もう、恋に恋することもなくなり、シンデレラは王子様と結ばれた後、お城で“生活”をしなければならなかった、という現実を知る年齢になっているのにね。せつないことばには、やっぱりため息をついてしまう。

小さな喜びと悲しみを重ねる、平凡だけどしあわせな毎日。満ち足りた“愛”に支えられて暮らす日々の中で、ふと感じる一抹のさみしさ。この、足りない何かを探すような気持ち、誰しも一度は経験しているのでは。
そういえば、ひとりじゃさみしいのにほっといてほしくて、ひとりになるとあなたに会いたくなる…みたいな歌があったなあ。
恋”はきっと、そんなこころの中の、解けない問いの矛盾の隙間に、静かに存在しているのですね。…たぶん。
いずれにしても、恋は短きうたかたの夢。
ふう。

『和歌と能楽』

050205_2017~01.JPG
最近、定型詩というものに突然興味がわいて来たので、短歌の入門書の中の古典の和歌を、今ぼつぼつと読んでいます。
その中に、わたしにとってなつかしい響きのある歌を見つけました。
「うたた寝に恋しき人を見てしより夢てふものは頼みそめてき」
これは『古今和歌集』に収められている小野小町の歌で、能楽「清経(きよつね)」という物語の中にも引用されています。
うたた寝をしていたときに恋しい人の夢を見てからというもの、はかない夢などというものを頼りにするようになってしまいました、という、せつない恋の歌。

わたしは、このサイトのプロフィールにも載せていますが、14才から21才までの7年間、能楽の稽古に通っていました。
日本の伝統的な舞台芸術を新鮮でおもしろいと感じたわたしは、奈良に住んでいた能楽師・金春晃實先生の下に入門し、学生時代は厳しい部活動をやっているような感覚で、日々熱心に稽古に励んでいたのです。

お能は、セリフのある舞台劇で、そのセリフはほとんどが歌のようになっています。いわば和製オペラのような。その歌は「謡(うたい、または謡曲ともいう)」と呼ばれ、笛や鼓に合わせて、登場人物はもちろん、舞台の端に座った黒紋付を着た数人のコーラス隊(地謡)も、そのセリフやナレーション部分を歌うのです。能楽の稽古では、その物語のの台本(謡本)をはさんで、師匠と向かい合わせに座り、口移しで謡を教わります。
わたしが15年前に一番最初に稽古をつけてもらった曲、それが「清経」でした。

このお話は、平家の武将だった平清経が主人公です。戦に負けたことを苦に自殺してしまった清経が、幽霊になって奥さんに会いに行き、敗戦の恐ろしさや悲しみを語って聞かせて、最後は別れを告げて成仏してゆく、というストーリー。
この曲は、平家物語をもとに作られた戦いのお話ですが、清経と奥さんの言葉のやりとりは、なかなかロマンチックで、どこか恋物語のような趣もあるのです。
小野小町の和歌は、清経の幽霊が奥さんの枕元に登場するときに、低い声で歌います。
清経の死を知って、泣き疲れて眠る奥さんに、そっと呼びかけるかのように歌われるその一首。
わたしの記憶の中には、数年前に亡くなった師匠の金春先生がその一節を謡う声が、今も確かに残っていて、和歌を目にした時は、とてもなつかしいのに、せつなくてたまらないような気持ちになりました。

今年のNHKの大河ドラマは源義経を主人公にしたお話だということもあって、町の本屋さんではその頃の歴史を扱った書物がたくさん並んでいます。
能楽には、平家物語を題材にした曲がたくさんあるということもあって、わたしにはどこかなじみのある歴史のお話を耳にする機会が少し増えました。
久しぶりに、ゆっくりとお能の舞台を見に行きたいな、と、ぼんやり考えたりしています。

『ほかほか』

050131_2211~01.JPG
1月28日は、福島市のMAGIE NOIRさんでの初ライブでした。
今年初めてのやなせななライブ!そして福島初上陸!でした。
お寒い中をお越しくださったみなさま、お世話になったスタッフの方々、ほんとうにありがとうございました。
また、ライブ終了後に声をかけてくださったり、また、後日メールで感想をいただいたり、このダイアリーのコメント欄にもメッセージをいただいたりして、それらみなさんのことばに触れると、とてもうれしく、たくさんたくさん元気づけられました。
ありがとう。
わたしが歌を作り、歌いながら、いろんなことを考えるように、わたしの歌を聴きながら、何かを感じたり考えたりしている誰かの心を知ることができるのは、とてもしあわせな不思議です。
帰りの新幹線の中では、そんな遠くて近いぬくもりに包まれている今が、あまりにあったかくて。またしても、ぼろぼろと涙を流してしまいました。

そして、私のライブの翌日29日には、EPOさんのライブを見に、宮城県は白石市のカフェミルトンに行って来ました。
EPOさんといえば、昔わたしの兄が大ファンで、幼い頃から耳にしては歌っていた、遠くて大きな憧れの存在。
ドキドキしながら、とても近くで、初めてライブの歌声を聴きました。
歌、というよりも、何かもっと大きな、生身の人間の“表現”。
EPOさんのライブは、人が生まれて、日々を生き、そして死んでゆくまでの、その営みの不思議さや、永遠に解けない謎のような、今ここにいることの意味を、感じ考える時間を、わたしに与えてくれたような、そんな気がしましたね。
決して広くはないミルトンのステージが、宇宙に向かって、ぐんぐん広がってゆくのを感じました。
単なる音楽ライブを超えたライブ!いやぁ感動しましたよ~!
ミュージシャン生活が25周年(!)のEPOさんの歌声には、長い年月を重ねて熟成された魅力と同時に、いつまでも新しい音楽を探し、胸を躍らせているピュアな心の輝きの、その両方が感じられて、ほんとうに素敵でした。

そんな熱い興奮をおみやげに、わたしはまた東海道を西にひた走り、ふるさとに帰って来ました。
今週は日本全国が寒波に襲われている様子で、関西も寒いです!
でも。
心はほかほか。

追伸/我が家のタビオもほっかほか。

お問合せ