New Album 「遠い約束」

『ありがとう、たびちゃん。』

060426_2023~01.JPG 今年のゴールデンウイークは、日本全国ほとんどの地域で晴れつづき。絶好の行楽日和の中、みなさんはいかがお過ごしだったでしょうか?
楽しいはずの長いお休みでしたが、我が家では悲しい悲しい出来事が起きてしまいました。
 愛猫・たびおが亡くなったのです。
5月1日の朝のことで、まだ7歳になったばかりでした。

昨年の夏、このダイアリーでもたびおの病気のことを書いたことがありましたが、あの日から約9カ月間、たびおは闘病を続けていました。決して治ることのない、肥大型心筋症という重い病に冒されたたびお。けれど、少しでも苦しみが軽減できるよう、また、一日でも長く生きられるよう、わたしたち家族は、毎日毎日たびおに薬を飲ませて、目の中に入れても痛くないほどかわいがりました。 
そして、祈ったのです。心筋症の猫でも、病気が見つかってから4年も生きた例もあると知り、きっとうちの子なら、4年生きてくれる、いや、もっともっと生きてくれる、そう信じて。 

しかし、無情にも先月に入って病状は次第に悪化し、たびおの体は腹水が溜まってボールのようにぱんぱんに膨れ上がってしまいました。内蔵が圧迫されて食事もできず、声も出せなくなったため、動物病院で腹水を抜いてもらいましたが、それは死期が近いことを意味していたようです。
 1週間後、一旦は元気を取り戻したかのように見えたたびおが、突然倒れたのです。動脈に血栓が詰まって後足が麻痺し、数時間後、何度も血を吐いて、たびおは力尽きてしまいました。

でも、わたしはその場に立ち会うことができませんでした。たった一晩、わたしが家を留守にしたその夜のことで、外出前、最後に見かけたたびおの姿は、いつもと変わらず元気そうでした。あまりに突然過ぎる、かなしいお別れ。
 
たびおの死を家族に知らされたわたしは、ショックで呆然としながら帰宅しました。そして、花に囲まれて静かに横たわるたびおと対面したのです。まるで眠っているような、おだやかな顔。それは、今にも目を覚ましてくれるんじゃないかと思うほど、いつもと同じかわいらしい顔です。けれど触れたたびおは冷たく、わたしは声を張り上げて泣きました。 
ごめん、ごめんね。姉ちゃんはたびちゃんが一番しんどいときに、そばにいてあげられなかった。なんにもしてあげられなかった。ごめんごめんごめん。
いくら謝っても足りず、涙が後から後からあふれ、滝のように流れました。

まだ子猫だったたびおとペットショップで出会い、連れて帰った日、おどおどしていたあの子を抱いて眠りながら、大丈夫、大丈夫、お前はうちの子だよ、と言い聞かせたことが昨日のことのように想い出されます。あの日から、小さなたびおは、わたしたち家族にとってかけがえのない、大きな存在になりました。
 いつも天真爛漫で、猫のくせに警戒心がなく、誰にでも甘えようとする、人なつっこいたびお。無邪気で、元気で、わんぱくで、賢くて、いたずら好きで、のんきで、愛らしかったたびお。何度もわたしを癒してくれた、まんまるな瞳のたびお。丸い顔、やわらかい体、すべすべした毛皮、太い腕、ぺちゃんこの鼻。特に鼻は、こげたビスケットを連想させる茶色で、それがかわいくてたまらなかった。タビスケットこげてるなぁ。そう言いながら鼻を撫でると、うれしそうにわたしのてのひらに顔を押しつけて、ごろごろと喉を鳴らしていた、甘えん坊のたびお。愛しいいとしい、たびお。

我が家は家族全員、顔が変わるほど泣き、泣きながらお葬式をし、更に泣きながら庭に穴を掘ってたびおを埋め、また泣きました。 今も、わたしの心にはぽっかりと穴があいています。ちいさなちいさなたびおでしたが、いなくなると、家はうんと広くなったように感じています。 けれど、のんきでお気楽だったあの子のことだから、今頃きっとお空の上で、わたしたちの嘆きにあくびをしているに違いありません。
これからは、わたしが逝く日まで、そこから見守っていてね。いねむりしながらでいいから、ね。 
今までほんとうに、ありがとう。たびちゃん。

 

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