『缶コーヒーに思う。』
わたしはコーヒーが好きです。一日の始めにコーヒーを飲まないと、目が覚めた気がしないし、仕事中にも欠かせないお供です。
と、言っても、それは専ら缶コーヒー。
このメーカーのは苦味が強い、あのメーカーのはまろやかだ…うんぬんかんぬん。評論家よろしくえらそうに語っていたら、時間をかけてていねいにコーヒーを煎れることを趣味として、日頃から高額なエスプレッソマシンなぞ使っている友人には、やなせさんみたいな人はコーヒーを語るべからず、ときっぱり言われました。
でもね、お手軽缶コーヒー党にも、それなりのこだわりってものがあるんですってば。ははは。
最近のお気に入りはアサヒから出ているWANDAの“100年ブラック”。
100年前に、夢を求めてブラジルに渡った日系人が作ったコーヒー農園の豆だけを使用している、といううたい文句の、こだわりコーヒーです。香ばしい匂いと、あっさりした苦味は飲みやすく、うむーおいしい。ハマります。
さらにこのコーヒー、今はおまけが付いているんです。“プロジェクトX~時代を創った革命の名車たち~モータリゼーションの扉を切り拓いた熱い思い~”と!長い!タイトルのついたこのおまけ、内容はミニカー。50年代、60年代に販売されていた国産車3種類です。車に関心のないわたしが手にしたところで「?」ってなもんですが、見る人が見れば「おお~!」と胸が熱くなるようなシロモノなのかしら。
このおまけから推測するに、100年ブラックのターゲットはおそらく働く中年男性。ひと缶のコーヒーを飲みながらホッとひと息つく間に、俺もがんばるぞ、という思いが湧き上がるように、こういった物語性を持たせているのかな、と想像してしまいました。
挑戦、失敗、忍耐、さらなる挑戦、苦労の末の夢の開花…働く人々にはたまらないであろうストーリー展開。それを小さなコーヒー缶に詰めているのですね。
ターゲットを絞り、演出し、販売する。どんな良いものでも、ただ不親切に、どん、と売り出すだけでは駄目なのでしょう。緻密な戦略があって、初めて多くの人に知られる機会を持つことができ、人々の手に渡り、良いものであればどんどん広まってゆく。物が確かなら、そこからロングセラーも生まれるわけです。
なるほど、深い、深いな、こいつ。わたしも見習って戦略を練り上げ、あとは挑戦、忍耐あるのみだ…。宿る闘志、広がる野望。働き盛り中年サラリーマンのような顔で頷きながら、コーヒーをごくり。うむむ、何だかより一層おいしいではないか。そんな「戦略」などという慣れない単語に思いを馳せ、コーヒーを飲む自分に酔っている時点で、わたしはアサヒの製品開発者の思うツボでしょう。
でも、それは120円で買える夢。
たかが缶コーヒー、されど缶コーヒーではありませんか!人間はほんのちょっとのことで、元気になれるのだ!そしてわたしは今日もまた、おっさんのような顔でコーヒーを飲んでいます。


きのうは、1月の終わりの三条御幸町ラジオカフェライブ以来、約7ヶ月ぶりの京都でのライブでした。下京ルネッサンスという地元のイベントで、京都市下京区にある浄土真宗本願寺派の宿泊施設・聞法会館にて、ロビーコンサートをさせていただくことになったのでした。会場はお寺の施設でしたが、お寺に関係のある方も、そうでない方も、実に大勢のお客さんがお越しになっていて、たくさんの方がコンサートに足を運んでくださいました。